| 「まずは、ジュビロサポーターのみなさん、本日は応援ありがとうございました。最終節。勝利をおさめることはできませんでしたがー・・・」 西から東へ、ヤマハスタジアム全体に目線を配る岬太郎は、落ち着いた様子で言葉を続ける。 モニター上に見える岬のこめかみから汗がつたい、西日に照らされてチラッと光る。なんて爽やかなのだろうか。 最終節勝利をおさめることはできませんでしたが、だってさ。どうせ最下位が決まっていたのに。 私達を置いて海外の一部リーグへ行くあんたにはジュビロの勝敗なんて関係ないだろうに。 岬が来てくれたこの数年、感染症大流行でろくにチャントも歌えなかった。 公開練習も一回しか見に行けなくて、写真も一回しか一緒に撮れなかった。 たとえ降格しようとも、岬のサインを背負って日本各地に行くぞと意思を固めた矢先の移籍発表だった。 「・・・ー感謝の気持ちしか浮かばず、ー・・」 岬の言葉が頭に何一つ入ってこない。 確かに昨年J1に上げてくれたのは岬だった。J2に行こうが、ずっと岬を応援して行くつもりだったのに。 客席の反応を伺い穏やかに微笑む岬に、怒りしか湧いてこず。 「岬ーーーー!!!ジュビロ優勝させてくれるんじゃなかったんかよーーー!!!」 「ブーーーーーーーーーー!!!」 しかし私のブーイングとは裏腹に周りのサポーターたちが余りにも暖かい拍手を鳴らすから。 「がんばってこいよーー!!」などと声援を送るもんだから、私も負けじと声を枯らす。 「J!2!岬!J2岬!!」 私のブーイングが完全アウェーとなる環境にすら納得ができず、 試合後に寄った居酒屋でも、そのあとの自宅での晩酌でも腹の底は煮えていた。 勢いに任せ岬太郎のTwitterにリプライを送る。 ”おい岬×××× ××××××××××” 結果私は岬太郎にブロックされた挙句垢バンを食らった。 |