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俺はしょっちゅうと口喧嘩をする仲であって、だから毛頭言うつもりは無いんだ、が好き、だなんて。 しかもなぜ好きになったのか未だにはっきりしていない。ってすぐに怒るし、俺の事男として見てないし、自分の事女だって意識ないだろうし、いつも強気だし、男女差別激しいし。(ちなみに自分の事女だと云々っていうのは、性別とかの問題ではなくて、もっと、こう内面的に意識してないっていうか、多分、女の子らしく、とかそういう気が全く無いんだと思う。) この間の体育大会なんて、実行委員(井沢)を完全無視して仕切りに仕切り、優勝まで導いた。もういっそのこと最初から井沢と交代してて良かったと思う。 男勝りな性格だから、きっと恋愛とかしたことないんだ。 隣の席になったあの日、真っ先に見せられたのはの友人であろう女子との“変顔プリクラ”なるもの。しかもなりに配慮したらしく、友人の顔は指で隠して見せたのだ。おいおいおい、そこまで出来てんのに何やってんだよ。は学校の中でも可愛い部類に入る顔をしているのに、その面影もないくらいにピースするの顔は崩れていた。 モテない原因はそこにもあるんだと思う、まさに残念な美女(とまでは実際のところいくのか解らないが)なのだ。 しかも俺の事を必要以上にいじるし。でもそのせいで何でも話せる男友達、になれたらしく、恋愛の話をしたこともあった。 その時何に驚いた、って、が恋をしていたって事!しかも相手は、学校一の美少年と言われている岬。 が相談してくる度、何度も無理じゃない、と言ったのにも関わらず、部活同じなんだからタイプとか聞いてよ、なんて完全に俺のアドバイスをスルーした。(もはや恋愛相談じゃないし) しかも俺も知らないうちに告白したらしい。 会って、ストレートに口で、好きです、と。 岬くんに、君のことあんまり知らないからって断られちゃった。 2人きりの教室で、最後になるであろう(一番まともな)相談を受けた。岬くんったら見る目ないっぷんぷん!みたいなノリで笑いながら振り返ると思ってた。だから本当に驚いた、が鼻をすする音を聞いた時は。 俺は女子らしい女子と関わり少ないから、もちろん後ろからを抱き締めてあげることも、何でも奢る、みたいな約束をしてやる事さえも出来なかった。 がひたすらに涙をこぼすのを、ただ見ていることしか出来なかった。 それがなんとももどかしく、何度思い出しても歯痒かった。 なんで、「俺がいるから」の一言が言えなかったんだろう。―――まあそれは今だから悔やめる事で、そう、の事が好きだと自覚しているからだけど。この時、だと思う、たぶん。でもやっぱり、の泣いてるのを見て好きになった、なんて絶対に言えるわけもなく、ただぼんやりと日が過ぎていく。 多分もう一度が泣いたとしたら、好きな奴が出来てそいつに振られたら、それが出来るんだろうけど、が誰かを好きになるのは嫌なんだ。しかも、の泣き顔を思い出すともちろんドキッとはするのだが、ズキッともするわけだ。とりあえず、次の席替えまで日にちがない。それまでがチャンスなんだと思う。 俺は決心した。 「なあ、」 自分の声が少し震えるのがわかった。
20100730
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