一本食べ終えればもう一本、と次から次へ袋のなかのポッキーはわたしの口へと運ばれる。甘ったるいな、と上顎を舌でなぞってまた一本、引き出していくうちに一袋目は空っぽになってしまった。

ふと、視線を感じた。新田の長い睫毛が揺れる。私と目が合うと少し呆れ顔になったが、やはり熱い視線はわたしのポッキーに注がれたままだ。
二袋めに突入したそれにかぶりつきながら考えてみる、ひょっとしたら新田はこれを食べたがっているのだろうか。

「食べる?」

ポッキーを指差し訊ねると、一瞬びっくりしたように目を開いてから頬を赤くした。

「いいのか、」
「えっ、うん」

ポッキーくらいでケチケチする訳ないのに。(食意地張ってると思われるのが恥ずかしいのかな、かわいいやつめ。)という言葉は胸にしまうことにして、新田の分を、と袋に手を伸ばす。

ポッキーを咥えたまま袋から二、三本取り出して顔を上げる、と、ほんの鼻先に新田の顔。
とっさに目をつぶれば、さっきまでのポッキーに代わり、強引な新田のキスが唇に触れる。

あ。



(まさか、新田が、こんな、大胆な。)

恥ずかしさと嬉しさと驚きとやっぱり恥ずかしさと、頭の中でさまざまな感情がめぐり、同時に目まで回ってしまいそうだ。

新田はそんなわたしの手からポッキーを奪い取り、気を紛らわすかのように一気に五本も六本も食べはじめた。





20101115